きみにはすでにイメージがある

きこえる
逃げてばかりの自分にも
きこえる
ふとんの中でも

きみは
物語の登場人物のはずなのに
勝手に半音あげられているよ
見知らぬ人と場所で

きこえる
換気扇がまわっていても
きこえる
バスタブにいても

それにしても
半音あがったきみの
イメージはどこへたどりつくのさ
世界中のイメージなのにさ

水が溢れて流れている
重なりすぎて傾いたテープとともに

消えることのない線が刻まれて
カタカタと薬缶が揺れる

キャッチボールからも
唯一無二の親友からも
兄妹からも
遠い。