栗色の瞳

真っ赤な口紅をした

ひとが

みつめる先に

透明なグラスがあって

ひかりの階段がおりてきていて

ああ やあ

美しいと

つぶやく腑抜けに

夢から覚めてと

口づけしてほしい

遠ざかる栗色の瞳

頬をなでるように

思い出そうとして

わすれてしまった声の色

大きな鞄を抱えて

改札のまえに立っている

何年も

からからになりながら