夜、小さな交差点まで

歩いても
歩いても
連続する街灯と
規則的な歩道のうえ
右に揺られて
ときに左に揺られて
あきらかに夜はある

休憩と称した
コンビニで
ピザまんを買い
雑誌がとてつもなく
煩わしいので
顔を歪めないように
店を出る
歪めないように
せめて歪めないように

車のスピードは
幾分上がっている
路面とタイヤとの接点が
高速で展開されて
ぼくは思わず
道路へ出た
もちろんそこは
過ぎ去った車の熱と
失われつつある
ぼくの表面的な熱のみ

此処が何処でも
あの先の交差点が終着でも
関係ない
死んだら星になるなんて
見上げた空の星星は
あまりに高く輝いて
あれほど遠くには
決していけない

ぼくはせめて
この星の一部になりたい
コップ一杯の水が
ぼくの体内をうまく
流れて巡るうちは
歩くのだ

あの幾つ目かの
街灯を越えたあたりに
小さな交差点があるのだから
見落とさないように
注意深く
深々と歩をすすめる
浸透する夜にまぎれて
翌日のことは
まだ考えていない