だれも知らない

わたしが
(あるいはあなたが)
こうして息をして
生きていたりすることを
だれも知らないし
知っているとしても
それは常識的な枠内であったり
もしくは先入観であったり
するわけで
見えていて
そして聞こえていて
さらに触れていて
ああ、ここにいる
と感じるのかもしれない
でもそれではきっと足りるはずはなくて
もっと感覚的に
わたしから離れて
わたしにならなくてはならない
(あるいはあなたにならなくてはならない)
とはいえ
わたしはひとり
布団のなかで足を伸ばし
冷たいところに触れながら
意識がまどろんでいくのを
知らず知らず待っていて
あたりまえを知っていた
わたしを通して
あるいはあなたを通して