やわらかいものが
目の前にあれば
両手でそれを掴むかもしれない
でもそれは
夢のようにあやういかもしれない
確かに昨晩
肩がずしりと重かった
唇が縦に割れた

天井が昨日より
数ミリ下がってきている
壁にかかっている
麦わら帽子を被り
安心する
全ては変わらずのもとにあると
年老いた青年は云う

耳を塞ぐ
口を開ける
からだを震わせて
天井の角から
一滴落ちてくる
リズム
不規則から解放されて
眠りへ向かう

緑色した
固有名詞が
頑なに
朧げに
近づいては
遠ざかり
もう知らないと
気がつく