遠くて近い記憶

青信号を
信じて過ぎる
タイミングよくいくつか
街灯が灯る
大きな道路を
やけに大きな車が飛ばしている
夕焼けが遠い
月が薄く張り付いていて
夜ごと奪いかねない
なにかに体が反応して
くしゃみをする
ハンドルを握りなおす
赤信号を
信じて止まる
夕焼けはまだ遠く
月は灰色した雲で隠される
電車から見える
海と灯台
海に煌めく夕日の記憶が
頭の中に浮かびあがる
まだあの場所へ行けそうにない
遠くて近い記憶
今更なにを
思い出すのか
信号が青へと変わる
青信号を
また信じて
アクセルを踏み込むと
少しだけ気が紛れたようだった