月別アーカイブ: 2015年7月

もうひとつの夜に

イチからぜんぶ考えるには

イチからぜんぶ忘れなければ

考えてから忘れるのは

ほとほと疲れるし

てんで厭になる

低すぎる月とか

音のない雷雲とか

夜はふたつに分かれながら

朝に向かって進んでいくから

ゆっくりという言葉を

ゆっくり呟けば

今に向かうことは意外と容易い

ほんの少しだけ手を伸ばせば

もうひとつの夜に触れられる

イチからヒャクまで

あるいは途中まで

またはその手前まで

数えたことは未だにないよ