戒め

ベッドの角に
拳ほどの丸い先端があって
それはこの部屋の
いってみれば
象徴みたいなもので
ぼくは
その丸みにこめかみをぶつける
日々は音もなく
今は音をたてて
そしてそれは頭のなかの
固まった部分を砕いてくれる
塩の塊を崩すみたいにして
掃除したばかりの床に
ぼくから剥がれた細胞が
転がっていて
顔をしかめては
また丸みにこめかをぶつけていく
業火に消える
あの光景がまた頭をよぎる
飛び出す赤い液体
ぐるりと回る眼球
やがて浮き始める躯
もしくは容れもの
今はまだぼくだ
かなしいことに