夜の坂道

あらゆるものの
最初と最後の
ちょうど真ん中あたりで
途方に暮れて
夜の坂道をぶらぶらと
あてもなく歩いている
そんな気がした
句読点のひとつが
やたらと頭に残り
足りない一文字が
不安を残す
噛みしめる力を
ゆるめても尚
削られていく
見えない奥歯
怠惰な色合いの
お店と広告
わからないものが
胸のなかで転がり
見えないものが
宇宙の粒に消えていく
だれに問いかけても
おそらく答えはでない
明日からは
じぶんなのだろうか
車のライトが
夜の坂道を抜けていく
記憶を辿って
駅へ下るまで
ひとしきり泣いた
夏の真ん中あたり
一方通行の看板が
ぼくを指差している