とある駐車場

比較的小規模な
ひとつのありふれた街のなかに
比較的最新型の
駐車場がある
その駐車場にはいつも
一羽のカラスと一匹の猫がいて
車は週に一二台とまるだけ
工事用のバンであったり
少し前に売れた乗用車であったり
そしてそれらは黒であることが多く
その黒は街に消える黒ではなく
怪しく発光する黒であったりする
(もちろんそこには例外もある)
週末の朝
朝日を小気味よく反射させる
昨日の雨でできた水たまりを
駐車場のカラスと猫が見つめている
伸びきったTシャツを着た
男がひとり過ぎ去るのを待ってから
ゆるやかに朝が広がっていく
比較的小規模な街にある
比較的最新型の駐車場
それ以外に重要なものが
この場所には確実に存在するにも関わらず
彼らはそこにしばらくいるのだ
(あるいは彼女らは)