君の手

歩いて帰るには
まだ少し寒い。

あの先に浮かぶ街灯まで
もうひとつ先の街灯まで

君の手は
まだ少し温かい。

空気がまるごとぜんぶ
夜の色を映していて
どぎまぎとしながらも
その先まで歩いていく。

真上に重なる月があり
なにもみえない空がいる。

そして
世界の輪郭が
ぼくを照らしている。

歩いて帰るには
まだ少し寒い。

君の手は
まだ少し温かい。