語り

わたしが目にして
この耳で聞いたことは
秩序でも自由でもなく
新たな可能性でもなく
古典でも前衛でもなく
絶対的な正義でもない
あれはただの毛布だ。
あたたかく触り心地のよい
自分だけの毛布だ
だれもが温もりを知っていて
それをとても心地よいと知っている
ただの毛布だ
間違いない
あれはただの毛布で
わたしはそれを疑った
静かな絶望と怒りとともに
語りは滔々と