春の延長

たしかあの日も
風がつよくて
西日が眩しくて
夜が長くて
時間にしがみついた
ひとつ部屋がふえて
そこにぼくはいて
ぼくみたいなひとがいて
夜が明ける
寝息のなかで眠ったまま
窓のむこうでは
春の風が吹いている
色とりどりの一日のなかへ
ぼくらは駆け出す
ぼくらみたいな記憶に閉ざされて
そこから先は止まった
春の気配のまま
記憶がまた延長されていく