夜ヲ

夜中。
コーヒーを口に含み
からだに染み込ませる
チョコレートのような後味のグァテマラ。
ふいに頭をよぎる記憶
そして反復
頭の奥のほうで耳鳴りがする
森がうごいている気配がする
細胞はイレカワッタ
並べた景色の連続に
なにを求めはじめているのだろうか
床に転がるわたしを眺め
声をたてずに笑うことを想像する
この夜に染まってみたい
目を閉じて
からだを沈めて
わたしとは関係なく
自分が存在しているのだ。
もう少しだけ
夜ヲながびかせる必要がある。
ほのかに苦く
やがて音もなく
夜ヲ、夜ヲ、ひろげる。
わたしとは関係なく