夜の入り口

夜の帳が降りる頃

大きな雲は

うっすらと蒼く輝き

今にも落ちてきそうな

空だった

小学校の校庭には

静けさが充満し

国道の車の列は

信号でしか途切れない

石ころを蹴飛ばすあの日の少年は

ぽっかりと空いた雲の切れ目に

吸い込まれて消えた

蒼く輝く空の下で

大切な欠片を掴んで

ポケットにしまいこんだ

時折立ち止まりながら

西へアクセルを踏む

重なっていく夜に

微笑みながら

夕食を想像する

明日は向こう側から

夜を洗ってやってくる

感謝を

過ちを

深い愛を込めて

夜を迎えに