みつめる影

しゃがんだまま
蟻の行進を見送った

目を丸くして
列のなかのあらゆる単体を
見極めるようにして

どこまで行って
どこまで帰るのか

なにを語らい
なにを愛するのか

やがて行進は終わる
思考は続く

僕の影だけを残して
ぽっかりと夕暮れに切り取られていく

置いてけぼりにされた
僕の影は今も
夜に消された今も
しゃがんでいる