だれもいない昨日へ

もうどこにもいない

背中を支えた

手が遠く

汗を拭った

額は冷たく

ひと夏で

知りすぎた

今は在るという実感

それから

立ち止まらない交差点

青々としたそらに

またがる

うごかない景色

まるで

モノクロの記憶のようで

眩しさにかざした手のひらから

一粒一粒の色を

拾いあつめ

もうだれもいない昨日へ

夕暮れに消されながら

なみだを堪えて

手を握りしめる

今に押し戻されそうに

時折

そらを見上げながら