雨揺れる

さっきまで
みえなかった文字が
ぼくに音速で
語りかける
買ったばかりの
雑誌を読むふり
高級なお菓子を
食べるふり
あなたたちを
愛するふり
さっきまで
なにもみえなかったくせに
ぼくはぼくにおびえ
夜中に雨が揺れた
さっきまでとは
ほど遠い
無秩序な雲行き
ぼくは
想像のなかで
眠りをさそう
まるで
少女が語りかけるように
雨が朝まで揺れていく