彼女のこと

ぼくは彼女のことを
なにも知らなかったのかもしれない

顔や手や、髪や匂いや
笑顔や涙や、声や瞳くらいしか
知らなかったのかもしれない

ぼくは彼女にまつわる
本当のことを知らなかった

ぼくは彼女を
愛している
と、ただ云っていただけなのかもしれない