木漏れ日

恋人はもう来ない

さくらの花が

新緑に変わったから

春よりも初夏がすきだ

陽の光に若い緑色は

より輝いてみえる

友人は公園でブランコをしている

あるいはベンチに座って

買ったばかりの本を読んでいる

時間の無駄を省いたら

思考が頓挫してしまうし

なによりかなしみに潰される

陽の光によって差し込まれる

神様のベール

僕らのせかいが穏やかに

たおやかに動くまでは

時間を現実に与えてやろう

木漏れ日を浴びて

ゆるやかな午後を過ごすのだ