眠りは欲にもならず、然れど過ちにもならず。

またひとつ、終わった。
水道から落ちる、水滴の音で目が覚めて。
まだ、そこは夜だった。
同じ日照時間のなかでも、完全な繋がりなんてないらしい。
あれは何枚目の手紙だっただろう。
あれはどこの写真だっただろう。
またひとつ終わったのなら、またひとつ始まるのかもしれない。
またひとつ欠けるように、満ちるように、終わっていく。
ひとりを過ごすとやがて気がつく。
時間は足踏みしているみたいだと。
朝の烏と夕方の烏はまるで別の鳥だ。
一瞬の不安が、救いようのない孤独を導く。
しかし、耳に残っているのは、子供の賑やかな笑い声。
今宵は僕ひとりで十分だ。
それも束の間に、欠伸ともつかない深呼吸が訪れて。
またひとつ終わり、眠りに還る。