割ってみないとわからない果実

誰かに見られているような
気がして閉めたカーテン

チャンネルを合わせることに
必死な年末、そして年始

何を見て
何を想おうが
結局伝わることのないアボカド

時速60キロで交わす視線
隣りに男は、女はいたのだろうか

重ね着と保温を間違え
暖房の強弱をないがしろにする

どこからアメリカ
どこまでフランス
それからどちらが国境

たまごサラダの入った
コッペパンをほおばり
ツナサラダの入った
コッペパンを持ち帰る

成功、休息と栄養に
乾杯、欲と無力に

割ってみないとわからない中身と
どれほどすれ違って帰宅したのか

扉の数は等しくも無限で
それらから背けて生きていくのか

集まることにも意味を覚えた
まだ続く冬の街を
敷きつめられたレンガの道を

あたたかい食事
あたたかい睡眠
そしてあたりまえの空の下

見た目ではわからない果実たち