足りないものがある
あきらかの文字を越えて
湖に佇む一羽の水鳥は
不足なく
まるで水彩画のイメージのよう
それはぼくのなかの完成
山積みの本に
希望や興奮を覚えるときもあれば
絶望や怒りを覚えるときもある
相手はぼく自身だというのに
ともかく
不足しているものを
見つめていくと辿り着く
一羽の水鳥
もしくはその後ろの景色
足りないもの
愛や夢と呼ばれる言葉だろうか
それを支配する感情だろうか
靴の種類だろうか
色のパターンだろうか
本を開いて
でも読まずに閉じて
立ち上がって
遠くを見つめて
声を出そうとして
やっぱりやめて
足りないのは
呼吸の深さ
言葉の尺度
あらゆるものの孤独