行方

そういえば

さっき、あのひとを見かけました

見知らぬ街の
見知らぬ角で
聴いたことのない唄と
感じたことのない色で

そういえば

さっき、どちらかにいかれました

争うことの果てしなさと
信じることの限りなさを
善と悪という不確かな判断と
動かされた秩序のなかで

そういえば

さっき、たしかに生きていました

解ることは万物の行方に
記されているのかと

目を閉じてひとりひとり
いや、ひとつひとつ
広がりのなかを
漂って感じて
考えて漂って

たしかに答えは
此処にはないのかもしれません