それは結局どこにもいかない苛立

不機嫌な女が横を通る

口笛を鳴らし佇む想像

笑ってごまかすにも限度があり

何者にもなれず

何者にも敵わず

自分を周りに落とし込みながら

不機嫌な女の視界から消える

退屈しのぎにすらならず

相手から自分への苛立のバトン

最後にはくだらないの言葉すら憚れ

口笛ふいた白髪の紳士を思い浮かべ

何事にもならず

何事にも囚われず

無言の笑顔を絶やすことなく

ただ自らのなかのみの出来事で

貴重な夜を渡すこともなく

それは結局どこにもいかない