雨
ぽつぽつと家の屋根にあたりはじける音がする
雨
ざあざあと道路に落ちて固まりやがて流れる水になる
雨
しくしくと泣く少女の背中にそっと手を置いた夏の終わり
雨
孤独を抱え眺める窓にはりつき流れる星のようになった
雨
すべてを知っていると語った物憂げな秋の横顔
雨
留まることなく聴こえる雨そのものの音たち
雨、雨、雨
届かないものも永遠たるものもない
雨
等しく降り注ぐ光と影の中間地点
雨
あまだれの旋律が心地よく響いている
雨
振り返ることはわすれることをわすれる
雨
ただ目の前を過ぎていく想像の夜更け
雨、雨、雨
さようならのしずくたち