逢う

ねむれないことを理由にして
あなたにとても逢いたい
しかし
あなたはそこには触れない
日常と妄想の隙間をうまく埋めてくる
そして
ぼくはまた笑っている
ほほえんでいるのではない
笑っている
からだを仰け反り
顔をひろげて笑っている
あなたの髪が気になる
目より先に
髪が気になる
思えば匂いが気になって
でもやはり
からだ全体が気になって
逢うという言葉は
発していいものか
言葉で留めておくものか
考えすぎる癖がある
これはもはや癖だ
人差し指で髪の毛を
くるくると回す
不確かな少女たちのようだ
あなた自身を
見つめる場所と時間を
ぼくに分けてくれないだろうか
逢いたい理由は
考えるものでも
発するものでもないんだ
ぼくはあなたに
逢って
それからつまり
だけど
逢いたいから仕方ない