蒸気

午前の終わりにアイロンをかけた
蒸気が顔を包み
3枚のシャツの皺を伸ばしきったときには
汗が滲み出ていた
明日この3枚のシャツのどれかを
着ていくことになる
選んだシャツに合わせて
ネクタイも選ぶことになる
レジメンタル
小紋
ドット
無地
しっかりアイロンのかかったシャツ
それに合ったネクタイ
それらは月曜日の始まりを意識させる
午後の始まりのチャイムが鳴った
僕は休日という形を身に纏い
外に出るか出ないかを
カタカタと揺れる
薬缶の前で考える
そして午後を過ごし
夜を向かえ
時間だけを惜しむように
眠りにつく
願望はないよ
と云っている
もうひとつの僕の形を
想起しながら
アイロンの蒸気が
懐かしいだろう
と云っているようだ