過去

時間は束の間のうちに

積み重なっていく

歩いたこと

繋がったこと

感じたこと

語らったこと

見つめたこと

いたこと

それぞれがそれぞれの

事実として

重なって

一頁になる

立ち止まり振り返ってみると

そこには時間の重なりよりも

時間の飽和のほうが

ぼくにはよく見える

あたたかいものから

つめたいものに変わっていくように

白く細かい粒となって

余分なものが飽和する

過去を刻んだ綴りは

飽和して残った

色のないものの蓄積なのだ

それをひとつひとつ

丁寧に取り出そうとすると

笑ったり

泣いたり

怒ったり

悔やんだり

嬉しかったり

するわけで

重なりは感情の一部が残った

色のない器に過ぎない

のかもしれない

一日が終わった

今としては