夏のどこかでだれかと

憧れていた
夏のどこかでだれかと手をつなぎ歩くこと
汗ばんだTシャツに
太陽に光る額の汗
暑いね、を合言葉のようにして
ゆっくり歩幅を合わせていく

その夏の日に
僕らは泣きながら別れた
愉しくなかったのではない
暑かったからではない
夏が過ぎてしまうからだ

また夏のまえに
新緑が揺らいで
梅雨が留まり
そして憧れの夏がくる

夏のどこかでだれかと手をつなぎ歩くこと
それが別れでも、出逢いでも
ぼくは手を精一杯にぎった