形のない午後に君を

君の帰りを待ちながら
買ったばかりの詩集を手にして
コーヒーを飲もうかと
ふらふらとそこらを歩く
今日の空は高く蒼く
わずかに途切れた慰めのように
ゆっくりと雲は形を変える

きりんさん、らいおんさん、
ぶたさん、かえるさん
おさるさん、しまうまさん、

君の帰りを待ちながら
小鳥のさえずりを聴いた
紫陽花の時期だというのに
清々しいまでに晴れた形のない午後
ぶら下げた鞄には
君に渡す本が数冊詰め込んである

重みとは時間だとすれば
時間とは現実だろう

わずかに変化する
白い生き物たちは
漂いながら夜を待つ
小鳥はいつまでも鳴き続ける
形のない午後に向けて