闇夜に飛び立つ梟よ

闇夜に飛び立つ梟よ
君は何処をみている
木々のざわめきに身を潜め
そっと影に入り込む
雲の流れは遅くとも
月夜の光に照らされる
音は静かに深く切り裂く

闇夜に飛び立つ梟よ
世界がまたざわめき出した
盲腸はなくなり
羊は群れているばかり
空は四角く固まって
壁は一層高くなる
旅人はひっそり森へと入る

闇夜に飛び立つ梟よ
川の流れが変わり始めた
口の渇きがひどくなり
言葉が音を無くす
草原にたたずむ旅人は
オカリナに耳を傾ける
過去の光が照らし出すひとつの影

闇夜に飛び立つ梟よ
君は僕になりかけた
紡ぎ出す言葉の群れに
乾いた頭蓋骨が語り出す
水が逆さに落ちてきて
時の速度を思い出す
朝を迎える梟に答えることはなにもない

闇夜に飛び立つ梟よ
森はいつしかまるくなる
焼けこげた地図は
枯れ葉に埋もれて消えていた
月から見えるその影を
捉える力は何処にもない
煌めくふたつの光はやがて閉じる