かなしみのかたまり

からだにめぐっている
かなしみのかたまり
ときおり顔を出しては
ぼくにイタズラする

無理なんてするもんじゃないよ
仕方のないことなんだよ
きみはきみでしかないんだよ
いつだってわかっているじゃないか

と、さながら自慢げに
斜め後ろから決して顔を見せずに
春の陽気を含んだ風のように
ぼくのなかを刺激する

かなしみのかたまりは
ぼくに生きることを知らせてくれる
同時に死についても
それはそれほど遠くない場所にあって
ときにすぐ目のまえにいるということを

雪がとけて猫があくびをしているとき
かたまりはぼくのからだから
とけてなくなってしまわないだろうか
かなしみのかたまりよ
太陽の香りが目に染みる